皆さまからのお便り letters

提供いただいた恩返しをこれからもずっとしていきたい。≪高橋 一騎 様≫

平成12年、私が小学校4年生の時に右目を針金でケガをいたしまして、その日すぐ地元の病院で緊急手術を行いました。
あと少しで失明していたかもしれないという話を、担当の先生から聞いた時は、とても怖かったことを今でもはっきりと憶えています。
その病院で入院や退院をしながら治療を続けて行くうちに、主治医の先生から神戸大学病院を紹介して頂き、通院することとなりました。

神戸大学病院で治療を続けていくうちに、角膜移植の登録手続きをいたしまして、順番を待つことになりました。
すると、年明けには移植手術を受けられるという話がありました。担当の先生から「登録をしても手術を受けられるのはずっと先かもしれない。」と言われていたので、私にとってその知らせは、とても嬉しい知らせでした。
そして、角膜移植の手術を受けて、初めて眼帯を外した時に、右目で見ることが出来た診察室の風景は、今でも鮮明に思い出すことが出来ます。

少し余談になるのですが、私の好きな歌の歌詞の中に、「この世で一番怖いのは、当たり前が、当たり前じゃなくなる瞬間…」というフレーズがあります。
右目をケガした瞬間、私は不安ではなく、とても恐怖したことを今でも憶えています。
ですが、移植手術を受けた時、そして、初めて眼帯を外した時に、これまで見えなかったものが見えるようになったとき、その時の私の感動は、今でも表現することが出来ないくらい嬉しかったと思っています。
そして、その時とても尊い角膜をいただいたお陰で、私はいま大学で、高い動体視力が要求されるバドミントンをすることが出来るようになり、本当に不自由のない生活を送ることが出来ています。
また、わたしが提供を受けたことで、家族もアイバンクに登録させていただきました。

家族を含め私は、提供いただいた恩返しをこれからもずっとしていきたいと思います。
これからも角膜を提供していただいた方、またそのご家族の方の為にも、いただいた角膜を大切にしていくとともに、
「僕に提供して良かった。」と言ってもらえるような、いろいろな経験をし、この右目でたくさんのものを見ていきたいです。
本当にありがとうございました。

つたない言葉ですが、私の話を終わらせていただきます。